こんにちは、マルチリンガルジョニーです。
いきなり質問ですが、リスニングが得意だと自信を持って言えますか?
子供の頃から洋楽を聴きまくっていたとか、大人になる前からネイティブの恋人と甘い言葉をささやきあってきたとかじゃない限り、日本人でリスニングが大好物だという方は少ないのではないでしょうか。
リーディングなら構文も語彙もそれほど問題なく理解できるのに、リスニングとなると途端に頭がフリーズする方もいらっしゃるかもしれません。
読めるのに聞けなくなってしまう原因としては、英語の音声処理が自動化出来ていない、つまり英文の音声を聞くと同時に脳内で正確な英単語や英文に変換出来ていないことが主にあげられます。
正確に音声を処理できていないと「Being~~~~~~someone~~~~view~~~one of~~~learning languages.」みたく英文が虫食いになってしまい、その状態で意味を理解するのは至難の技なのです。あるいは単純に音声のスピードに脳が追いつけていないということもあるでしょう。
この記事では英文が脳内虫食いみたいになってしまう状態を解決し、英文音声のスピードできっちり内容を聞き取れる状態を作るためのトレーニング方法について解説していきます。
リスニングは上図のように音声知覚→意味処理の流れで進むということをリスニング全体像で解説しましたが、これからリスニングに挑戦するみなさんには学習者向けリスニング教材を使って音声知覚をできるだけ自動化し、「頑張って音に集中すればなんとなく聞き取れるレベル」から、「頑張らなくてもリラックス状態で英語の音が聞き取れるレベル」に引き上げていきます。
これにより音声処理に脳のリソースを割かなくてよくなるため、意味処理に集中できるようになります。日本語で話を聞く時には声が脳内で自動的に意味を持った単語・文章に置き換わっていると思いますが、英語でもこの話の内容だけに集中している状態を作っていくのです。
このようにリスニング教材を使って学習する際は音声処理+意味処理を同時に処理する能力を磨いていくということを頭に入れておきましょう。
音声付きリスニング教材を使った学習の目的を理解していただいたところで、具体的な教材・学習内容についてお話していきます。
・おすすめの自習用リスニング参考書
・リスニング教材を使った具体的学習法
上記の構成で進めていきます。
まずはおすすめ教材を難易度順に3グループに分けて紹介するので、必要な部分をピックアップして読み進めてくださいね。
[レベル別]おすすめリスニング参考書7選
世の中には大量にリスニング参考書があるので、どれを選べば良いかわからない方も多いかもしれません。
そんな方のために自習用おすすめ参考書を紹介していきます。すでにお気に入りのリスニング参考書が決まっている方はそれを利用していただいて大丈夫です。
語彙レベル・音声の速度に基づいて3段階に分けて紹介しますので、みなさんのレベルに応じて必要なものだけ利用してくださいね。
英語長文レベル別問題集
発音基礎を学び終え、いよいよ長文リスニングデビューする方におすすめの教材が東進の英語長文レベル別問題集シリーズです。
名前の通りレベル別に分けられておりレベル1〜6まであるので、語彙・文法面で自分に合ったレベルを選ぶことができ、そこから徐々にレベルアップしていくことができるので、リスニングデビューに最適なのです。
高校である程度英語を勉強していた方は4あたりから始めると良いかと思います。レベル4,5,6の大体の目安を示しておきます。
・レベル4
センター試験高得点。TOEIC650程度。英検2級合格レベル。語彙力5,000〜6,000語程度。
・レベル5
MARCHレベル。TOEIC800程度。英検2級〜準1級の間。語彙力7,000〜8,000語程度。
・レベル6
早慶以上レベル。TOEIC800以上。英検準1級合格レベル。語彙力9,000語程度。
*音声速度は全てwpm150程度でTOEICと同じか少し遅い程度。
高校英語もほとんど忘れてしまったという方は中学英語のレベル1からやっていけば単語や文法がわからなすぎてリスニングどころではないという状態にならなくて済むと思います。
解説ページの全文には文型(SVOC等)、品詞{形容詞・名詞・副詞(句/節)等}、の構文解説が付いているので、和訳だけじゃ英語本文の構造がわからない場合もパッと理解することができます。これにより効率よく意味処理の復習ができるので、構文解釈に悩む時間を節約でき、その分リスニングトレーニングに時間を費やせます。
英語長文レベル別問題集のレベル6まで終わらせれば音声スピード的にはTOEICに対応できる力がついているはずなので、後は語彙力を磨けばリスニング満点も狙えるかもしれません。
TOEIC対策がしたい人はレベル別と合わせてTOEIC過去問のリスニング教材も使ってさらに練習量を増やしてみてくださいね。
東大英語・英検準1級/1級
レベル別問題集で高校英語が聞き取れるようになったら次に挑戦したいのがキムタツの東大英語リスニングSuper、英検準1級・英検1級のリスニング教材です。
それぞれの語彙・音声スピードの難易度の目安を示しておきます。
・英検準1級リスニング問題150
語彙7,500〜9,000語程度。対話形式wpm150程度。パッセージ形式wpm110程度。レベル別より少し音声が遅いところもあるが、内容の専門性が受験英語より高いので難しい内容についていく理解スピードを養う練習ができます。
・キムタツの東大英語リスニングSuper
語彙レベルは英検準1級と同じか少し難しいくらい。wpm160〜180程度。音声速度は段階的に速くなるように作られているので、受験英語スピードから卒業し、ネイティブスピードに引き上げるのに最適。東大英語なので厳密には受験英語ですが、一般的な受験英語のレベルを語彙・スピード共にはるかに超えているので、高校英語からステップアップすることができます。
・英検1級リスニング問題150
語彙10,000〜15,000語程度。対話形式wpm160〜200。パッセージ形式wpm130〜160程度。語彙・スピード共に受験英語とは一線を画すネイティブ英語聞き取りを目指す学習者の登竜門。
上記3つをこなせば英語学習者としては音声処理・意味処理共にかなりのリスニング力がつきますし、TOEICでリスニング満点も普通のレベルになってくると思います。
TOEFLリスニング
英検1級リスニングが終わったタイミング、あるいは英検1級と並行して取り組みたいのがTOEFLリスニング教材を使ったトレーニングです。
英語圏の大学講義を聞き取る力を測るTOEFLを使って練習することで、専門的な話を英語で聞きながら要点をまとめていくという実践的なリスニング力を磨くことができます。
語彙・音声レベルを見てみましょう。
・TOEFLテストリスニング問題190
語彙15,000語+α。wpm140〜200程度。専門的な講義形式でもものによっては英検の対話形式より速い場合があり、音声処理力・意味処理力共に高度なリスニング力が求められます。学習者脱出の最終関門。
TOEFLについてはあまり語彙情報が出回ってないので、僕自身の経験から判断しました。語彙力が15,000語程度の頃にTOEFLリーディング問題集を読むと1長文あたり知らなかったり意味が曖昧な単語が2〜3個ありましたが、18,000語くらいになると知らない単語はほぼ出なくなっていたので、TOEFLをカバーするのに必要な語彙は大体15,000語以上かなという推測です。
もう1つの根拠はTOEFLが英語圏の大学での実生活に必要な英語総合能力を測るためのテストとして開発されたということ。ネイティブ高校生の語彙力が約22,000語であることを考えると、大学でコミュニケーションを満足に取るためにはそれと同じとまでは行かなくとも、15,000語以上必要というのは妥当かと思います。(もちろん英語圏大学入学に必要な最低限のスコアはもっと少ない語彙レベルで取得できますが。)
TOEFLリスニングを余裕で聞き取れるようになれば、講義やTEDのプレゼンなど、比較的フォーマルな英語はある程度困らなくなります。海外ドラマやネイティブ同士の対話というリスニングのラスボスに挑む素養を培うための大事なステージなので心して練習してくださいね。
3グループのおすすめ教材紹介を終えたところで、学習者向けリスニング教材を使った学習法について解説して『ステップ4: 学習者向けリスニング教材』を締めくくりたいと思います。
リスニング教材を使った学習法
おすすめ自習用リスニング教材を紹介しましたが、せっかく自分のレベルに合った良質な教材を使っても適当に聞き流しているだけでは学習効果が信じられないくらい激減してしまいます。
もちろん絶対的に正しい学習法などはありませんが、音声処理力を磨く効果の高い学習法を3ステップに分けて解説しますので、自分なりにアレンジして活用してくださいね。
1.音声聞き取りに挑戦
2.一字一句復習(精読)
3.反復・シャドーイング(5〜10回)
上記3ステップをそれぞれ解説していきます。
ステップ1: 音声聞き取りに挑戦
まずは音声処理と意味処理を同時にこなす力のチェックとトレーニングを兼ねて音声の聞き取りに挑戦します。最終的にはこの段階で完全に聞き取れる状態を目指しましょう。
この時に自分への採点が甘くならないように気をつけてください。例えば確認問題付きのテキストで仮に全問正解しても聞き取れない単語や内容がよくわからない部分があれば完璧ではありません。常に自分の課題を発見する意識を持って取り組む姿勢が大切です。
なおあまりに聞き取れなければ最初のうちはこのステップを飛ばしてステップ2から取り組んでも構いません。ここで無駄に頑張って時間を浪費する必要はなく、ステップ2の復習とステップ3のシャドーイングをしっかりやり込めばリスニング力は問題なく伸ばしていけるので安心してください。
ステップ2: 一字一句復習(精読)
ステップ1が終わったらテキストを見ながらの復習です。
復習の際は知らない単語・熟語や語法が曖昧な単語はもちろん、SVOC等の文型・各単語の品詞などの構文等を含め、とにかく一字一句理解できている状態を目指します。
単語レベルだけでなく文・段落レベルの論理展開まで理解できていると理想です。例えば分詞構文が出てくれば並列や因果関係、あるいは逆接や譲歩を表しているのか考え、各段落ではどんな主張をポイントにどんな議論や具体例でサポートしているのか理解する、というように文章内容まできっちり分析しておきましょう。
これと合わせて下記のツイートのように『前から読む』という読み方を意識して復習しておくと前に戻ることのできないリスニングで音声のスピードに置いて行かれない対応力が向上します。
そして忘れてはいけないのが、発音が曖昧な単語は必ず辞書で発音記号をチェックすること。これの積み重ねで発音の精度が上がります。
こうした復習の目的はステップ3のシャドーイングの際に文法や語彙、文章内容、単語レベルの発音などに脳のメモリを割かれることを防ぎ、音声処理に集中できる状態を作ることです。
純粋に音声に集中してシャドーイングを繰り返すことにより、音声知覚が徐々に自動化されていき、初めて聞く文章・会話でも意味に集中でき、音声処理+意味処理が同時にこなせるようになっていきます。復習はそのための大事な準備段階なのです。
ステップ3: 反復・シャドーイング(5〜10回)
このステップ3がリスニング力アップに一番大事ですが、ここを飛ばしてしまう学習者の方が非常に多いです。早く新しい教材に進みたい気持ちをグッとこらえてきっちり反復しましょう。
ここでの目的は同じ音声を繰り返し聞き、さらに音声と同時に自分でアウトプットするシャドーイングを何度も反復することでネイティブの音声データを脳に叩き込み、音声処理の自動化を果たすことです。
同じ洋楽を何度も繰り返し聞くことで発音基礎が定着するのと同じで、文章・対話の音声でも同じものを何度も反復して初めてネイティブ発音が脳内に定着し、音声処理力が向上するのです。反復をおろそかにしていてはいつまでたっても中途半端なリスニング力から抜け出せません。
反復・シャドーイングの手順としては以下の3つを音声のスピードで完全に理解できるまで繰り返すと良いでしょう。
1.テキストを見ながら音声を聞く。(リスニング)
2.テキストを見ながら同時に発音する。
3.音声のみを聞き、同時に発音する。(シャドーイング)
反復・シャドーイングの回数としては最低5回、理想的には10回以上こなして欲しいところです。リスニング力がアップするに連れてシャドーイングの比率を上げていくと良いでしょう。
また、反復の際に以下のことを意識しておくと学習効果が倍増します。
反復時に意識すること[音声処理編]
・全体のリズム
・イントネーション
・音節
・音の繋がり(e.g. one-of-thoseの発音)
・省略、消失
・音の強弱(前置詞は弱く発音される等)
・アクセント
・発音記号(反復時に曖昧なものは再度調べる)
このように毎回テーマを持って音読・シャドーイングすることで漫然と反復するよりも脳内の発音データが強化されやすく、音声処理がどんどん自動化されていきます。上記のテーマは一例に過ぎないので、どんどん自分で意識するべき注意点を作り出し、反復練習に負荷をかけてくださいね。
特に発音記号で1つ1つの音を正確に理解するという努力を飛ばしてしまうと音声が虫食いになってしまう状態をなかなか脱することができません。40音ちょっと(1日5音学べば10日で終わります)学習するだけなので、発音記号がわからないという方は次の記事でささっと済ませてくださいね。何も恐れることはありません。
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音声処理に慣れてきたらさらに文章の意味内容についても下記のように意識して音読・シャドーイングを繰り返すと音声・意味の同時処理を楽にこなす力が養われていきます。
反復時に意識すること[意味処理編]
・全体の文章構成
・段落ごとの文章構成
・イントロの作り方(どういう表現で導入しているか)
・説明文の作り方{具体例はどう始めるか、主張に対する理由はどんな表現で追加しているか(常にFor example, This is becauseなどの直接的表現とは限らない)}
・前置詞、副詞の用法
・関係詞の用法
・冠詞(the, a/an, 無冠詞の区別)
・主語(無生物主語の使い方、一般論ではyou/weをどう使い分けるのか等)
・語法(自動詞/他動詞, 文型, 一緒に使う前置詞等)
音声処理・意味処理といろんなテーマを意識しながら反復・シャドーイングをしていれば何十回繰り返しても毎回新たな学びがあるはずです。量も質も重視した反復でリスニング力を飛躍させてくださいね。
次のステップは?
リスニング参考書で音声処理を自動化し、音声のスピードについていけるようになったらいよいよネイティブ英語聞き取りの世界へ羽ばたく時です。
従来の参考書は発音をわざとゆっくりにして学習者向けに手加減していたり、割と自然なスピードで収録しているものでもネイティブ同士のカジュアルな会話に比べると発音が明瞭だったりと、基本的に野生の英語より聞き取りやすいです。
ネイティブ英語=容赦のない野生の英語を聞き取るまでの道には、更なる音声処理力アップ・口語表現理解力アップなどの新たな課題が横たわっています。
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