こんにちは、マルチリンガルジョニーです。
英語学習において必ず直面するのが、読むのが遅いという問題ですよね。
- 長文読解教材で勉強する際、制限時間・目標時間をオーバーしてしまう...
- TOEICのリーディングパートを時間内に全て解くことができない...
- 洋書をいっぱい読みたいのに時間がかかってしょうがない!
この記事を訪問してくれた皆様も上記に当てはまる、あるいは他の理由で読解スピードを向上したいと思っているはずです。
そんな迷える子羊様たちのためにどのくらいの読解スピードがあれば良いのか、そして読解スピードを上げる3つの方法について詳しく解説していきます。
WPMというスピードを測る指標
読解スピードを上げるためには、まずスピードを客観的に測定できる指標が必要となります。その際に役立つのがWPMという指標です。
WPMはWords Per Minuteの略で、1分間に読める(あるいは話される)単語数を意味しています。
計算式: 文章の単語総数 ÷ 読むのにかかった秒数 × 60=WPM
例えば530語の文章を3分20秒で読んだ場合、530語÷200秒×60=159wpmとなります。
この指標を使えばどんな長さの文章でも同じ基準でスピードを測定できます。
また、Cengageやreadingsoft.comというサイトでもWPMを測ることができますので、一度自分の読解スピードを確かめてみてください。
ネイティブの読解スピード
WPMという指標を手に入れたところで、ネイティブはどれくらいのスピードで読むことができるのでしょうか。
Forbesの記事で次の各読解レベルでのスピードが紹介されています。
- Third-grade students = 150 words per minute (wpm)
- Eighth grade students = 250
- Average college students = 450
- Average “high level exec” = 575
- Average college professor = 675
- Speed readers = 1,500
- World speed reading champion = 4,700
Average adult: 300 wpm
1分間に4,700単語ってとんでもない速読能力ですね。本当に理解できてるのかなあ。笑
ネイティブの平均的な大人の読解スピードは300WPMということでした。
ネイティブレベルの読解スピードに到達するにはまずは中学2年生レベルの250WPMを目指したいところです。
TOEICを解き終えるのに必要な読解スピード
TOEICのリーディングセクションを時間内に解き終えるにはある程度のスピードが求められます。一般的には150WPMほど必要と言われていますが、それほど多くの情報は出回っていません。そこで僕自身の経験を元にお話します。
僕はWPMが120, 150, 200, 230の頃の計4回受けていますが、時間的な余裕がそれぞれかなり違いました。以下各WPMでリーディングセクションを解いた際に感じた時間的な感覚です。(点数は4回とも満点)
- WPM120: かなり急いでギリギリ。全問題スムーズに解けてちょうどくらいなので、途中悩んで詰まったりしたら間に合わないです。実際本番はギリギリでしたが、自分で解いた練習問題は最後の長文一つ丸々時間が足りませんでした。
- WPM150: スムーズに行けば3分〜5分余るくらい。途中読み直したりしていると最後の方焦りながら解いてギリギリ終わるイメージです。
- WPM200: 自然なペースで解いて5分〜10分余るぐらい。少々立ち止まっても時間内に終えることができます。油断したら間に合わない可能性もあり。
- WPM230: 自然なペースで解いて10分〜15分余るくらい。練習問題も何回か通しで解きましたが必ず見直しする余裕はあります。よほどのことがない限り、間に合わないことはありません。
*ちなみに全て読み飛ばしたりはせず、各長文を最初から最後まできちんと読み込んでいます。速く読むために精度が落ちていたら本末転倒だと思うんですよねー。
4段階のWPMとTOEICの関係を説明しましたが、時間内に解き終えるには最低でもWPM150, 余裕を持って解き終えるにはWPM200は欲しいところです。
ネイティブの話す速度
読解スピードはリスニング力とも深い関わりがあります。
自分のWPMが話している人の速度より遅かったら普通に考えて理解が追いつかないですよね。
ネイティブの話す速度について、write-out-loud.comで一定の基準が紹介されています。
- ゆっくりはっきり話すスピード: 110wpm以下(一般的な英語学習者向けのリスニング教材は100wpm〜120wpm程度)
- 自然な会話スピード(遅め): 120wpm〜150wpm
- 自然な会話スピード(速め): 160wpm〜200wpm
- ラジオやポッドキャスト、オーディオブックで話されるスピード: 150〜160wpm
- 競売人が話すスピード: 250wpm〜400wpm
読解スピードが200wpm以上あれば、ネイティブの自然な会話にもついていくことができそうです。(リスニング力は別問題ですが。)
TOEICのリスニングセクションは150wpm〜160wpmで録音されているので、リーディングセクションと同様、最低でもWPM150、できればWPM200を目指しましょう。
それではいよいよWPMを向上させる3つの方法についてそれぞれ見ていきましょう。
方法1: 戻り読みを防ぐ
日本語と英語の語順の違いから、日本人は英語を読む際に文の後半まで読んで文頭に戻り、再度読み直すという”戻り読み”をやってしまいがちです。
この戻り読みをやってしまうと大幅にタイムロスしてしまうため、今すぐやめる必要があります。
戻り読みを防ぐために、指なぞり読み(ネーミングセンスなくてすみません。)、シャドーイングを使った訓練をしていきます。
指なぞり読み
指なぞり読みとは文字通り指(ペンでも可)で文を前からなぞりながら一定のペースで読み進めていく方法です。
まずは一度読んだことのある長文を用意してください。戻り読みを防ぐことだけに集中したいので、知らない単語・曖昧な文法はきちんと調べて理解しておいてください。
この分析済みの長文を前から指あるいはペンでなぞりながら、戻ることなく読み進めていきます。1回目はスピードは気にしなくていいです。それよりもゆっくりと理解できるペースで良いので、指を途中で戻したり止めたりせず、一定のスピードで読み進めていくことが重要です。
これをWPM250〜300程度に到達するまで繰り返しましょう。(もちろんもっと速くても構いません。僕は最低5〜6回は繰り返すようにしていました。)
慣れてきたら初見の文章でも指なぞり読みを導入します。この際も初めはスピードよりも戻らない・止まらない、ということを重視してください。初見でWPM200以上で読めるようになれば、後は英語のリーディング経験を積み重ねていくにつれ、自然に読解速度が向上していくようになります。
シャドーイング
シャドーイングとはお手本の英語を聞きながら、その英語を影のように追いかけて真似して発音する練習方法のことです。
このシャドーイングはWPMが120以下の初期段階に特に有効です。
指なぞり読みと同様、読んだことのある分析済みの長文を用意します。指なぞり読みと違う点は音声付きの教材を使用するということです。できればWPM150ほどのネイティブスピードで収録された教材を選ぶと良いです。
以下4つのステップを紹介します。
- テキストを見ながら音声を聞く。(リスニング)
- テキストを見ながら同時に発音する。
- 音声のみを聞き、同時に発音する。(シャドーイング)
- 音声のスピードで完全に理解できるまで1〜3を繰り返す。
シャドーイングは音声のスピードで理解することを強制されるので、読解速度を特に意識しなくても自然にWPM150程度を達成することができます。
反面、音声のスピードが限界なので、シャドーイングでの理解に余裕ができてくれば指なぞり読みでWPM200以上を目指す訓練が必要になります。
指なぞり読み・シャドーイングを並行して戻り読みとおさらばしましょう。
方法2:語彙力・文法力強化
WPMを向上させる方法を考える際、方法1であげた戻り読みを防ぐ方法や斜め読みなどのテクニック論ばかりが強調されてしまう傾向があります。
ですがそれと同じくらい、あるいはそれ以上に重要で本質的な読解スピード向上に繋がるのが語彙力・文法力を強化することです。
例えばI played soccer when I was a junior high school student. という文はスラスラと読めると思います。
ではOptions are a type of derivative security because their price is intrinsically linked to something else. という文はどうでしょう。
一つ目の文と比べると少し理解に時間がかかってしまうのではないでしょうか。
このように自分の知らない単語、あるいは見たことはあるけど理解が曖昧な単語が文中に含まれるとその情報不足を補うために推測しようとして文の理解に余計に時間がかかってしまいます。
これは自分が苦手な文法が文中に使われている場合も同じです。(例えば倒置法・仮定法など)
語彙・文法の知識を増やし、さらにすでに知っている単語・文法の理解を深めることで、自分のトップスピードで読める文章の範囲が広がり、WPMを向上させることができます。
文法の中でもスピード改善に繋がりやすい「品詞・文型」についてはUdemyで講座を公開しています。SVOCなどと記号を丸暗記するスタイルではなく、洋書やドラマで使われる実践的例文をもとに、英語を英語のまま捉える文法力を養える構成になっています。
文の骨格である品詞・文型を押さえた上で指なぞり読みを実践すると、戻り読みによるタイムロスを格段に減らすことができます。自動詞・他動詞の区別は登録なしで見られるので、興味がある方は参考にしてくださいね。
方法3:文章の構成を意識する
方法1・方法2では、戻り読みをやめ、語彙力・文法力を強化することで英語の文を立ち止まらずに読み進める力がつくことを紹介しました。
この2つだけでもかなり読解スピードは向上しますが、加えて文章の構成という大きな枠を意識しておくことで、さらなるスピードアップが見込めます。
闇雲に読み進めるよりも文章の構成という地図を持っておくことで、一つ一つの文が果たす目的が明確になり、各段落ごとのポイントや文章の全体像を素早く理解することができるのです。
ここでは応用の効きやすい基本的な文章の型を紹介します。
文章構成の王道:PREP法
PREP法は『Point』・『Reason』・『Example』・『Point』の4つの部分からなり、ビジネス文書やプレゼンテーションでよく用いられる文章構成ですが、評論文や説明文も文章を分解していけばこの4つの要素に行き着きます。
以下、各要素の役割です。
- Point(結論): 文章の要点。主張したいメインポイントです。
- Reason(理由): Pointで述べた主張の正当性を裏付ける理由。
- Example(例): Reasonに説得力を持たせる具体例。
- Point(結論): 最初に主張した結論の再確認。
P→R→Eと進むに連れて情報が詳細になり(抽象度が下がる)、最後にまたPで締めくくるという形ですが、全ての文はPointを伝えるという目的のためにあります。
PREP法を使った文章の例を見てみましょう。
- Point(結論): 英語を勉強する際、海外ドラマを使うと良いです。
- Reason(理由): なぜなら海外ドラマを見ると日本語を介さず英語を直接理解するくせをつけることができるからです。
- Example(例): 例えばパーティや商談などで初対面の相手と会話を始めるシーンを見て、自己紹介や雑談をするのにどのような表現を使えばいいかといったことを映像と結びつけて直接理解することができるのです。
- Point(結論): このように海外ドラマは英語学習に置いて非常に有効なのです。
この文章例は1つの要素に1文だけ使っていてシンプルなものですが、通常の文章だとPointの段落、Reasonの段落、Exampleの段落、まとめのPointの段落と分かれていたりします。
そのような長い文章を読む際も、筆者が伝えたい主張は何か、その主張を裏付けるためにどのような理由・具体例を使っているのか、といった要点を意識しながら読み進めることで、迷子にならず文章の全体像を掴むことができます。
PREP法の応用
基礎的な文章構成を学んだところで、続いては皆さんが大好きな応用編です。
PREP法の面白いところは文章全体だけでなく一部の段落(特にReasonの要素を持つ段落)でも新たにPREP法で文を展開することができる点です。PREP法のマトリョーシカや〜。
はい、綺麗にスベったところで文章例を見ていきましょう。
- ’Point(文章全体ではReasonの要素): 海外ドラマを見ると日本語を介さず英語を直接理解するくせをつけることができます。
- ’Reason : なぜなら日常生活の各シーンで使われる英語表現を、自然な会話という文脈の中で映像と結びつけて覚えられるからです。
- ’Example : 例えば映画に誘われた女性が軽く断るシーンで(考えておくというようなニュアンスで)we'll see という表現を使っていれば、その表現を覚えて自分も同じ状況でそのまま使うことができるのです。
- ’Point : このように海外ドラマには英語を直接イメージと結びつけて理解するくせをつける効果があるのです。
この文章例では英語学習には海外ドラマを使うと良い、という趣旨の先ほどの文章のReasonに当たる部分を新たに'Pointとして設定し、そこからさらに'Reason、'Exampleを展開させています。
このようにPREP法は入れ子のように展開されることがあるのです。
また、Reasonの部分には単純な理由以外にもPointを裏付ける情報を入れることもできます。海外ドラマでは英語を直接理解するくせがつく、という'Pointに対して、英語を直接理解するようになれば読解スピードが速くなるというメリットの紹介も'Reasonの部分を構成することができるでしょう。
文章の長さによってPREP法はPREREP・PRRERPなど、ReasonとExampleを様々な順序で展開していくことができます。
この文章の構成を意識しながら読み進めることで読解スピードは一段とレベルアップすることでしょう。
まとめ
お疲れ様でした。
母国語でない英語の読解スピードを上げるためには最初はどうしても意識的なトレーニングが必要となります。TOEICを時間内に解き切る、ネイティブの会話のスピードについていくという目標を達成するためにもWPM200〜300以上を目指して頑張っていきましょう。
以下、今回の復習です。
- WPM(TOEICを解き終えるには200、ネイティブ平均は300)
- 戻り読み防止(指なぞり読み、シャドーイング)
- 語彙力・文法力強化
- 文章の構成を意識(PREP法)
2の戻り読み防止トレーニングを短期間で集中して行うことで速読の基礎力をつけ、3, 4を意識して多読の経験を積んでいくというのがオススメの方法です。
もちろんこの記事であげたトレーニング方法は一例に過ぎないので、良さそうな方法があればどんどん取り入れていってください。
英語を日本語と同じようにスラスラ読める日が来ると良いですね。
*地獄の丸暗記文法学習を脱却したい
語彙力が5,000語以上あるのに暗記した英文しか話せなかったり、洋画などに出てくる口語表現は歯が立たないという方は、文の骨格である品詞・文型をSVOC等の「決まり」として機械的に暗記させられ、本当の活用法がピンと来ていないのかも知れません。「目をつぶってでも満点取れるわ」などの実践的例文を使って品詞・文型という強力なツールを味方につけませんか?
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