こんにちは、マルチリンガルジョニーです。
イントネーションは簡単に『声の上がり下がりの調子』と定義することができます。
発音の強弱·長短·高低などの要素によって構成されていて、音楽に例えるとメロディー的な部分に当たります。言葉そのものじゃない部分で感情を伝える機能も担っているのです。
例えば同僚に仕事を頼んだ場合の返事について考えてみると、
Sure⤵︎(下り調子)→いやいやOK
Sure⤴︎(上り調子)→喜んでOK
このように同じ返答でもイントネーションの違いによってその人の感情の伝わり方が変わってきます。
さらにはイントネーションには感情を表す場合だけでなく、「強弱リズム」という英語特有のリズムを形作る根本原則があるという話を以下の記事で解説しました。
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英語イントネーションの正体は内容語/機能語の強弱〜波打つリズムで自然な抑揚を手に入れよう〜
こんにちは、マルチリンガルジョニーです。ネイティブが英語を話すのを聞いていると〜〜〜〜のように波打っていると感じたことがありませんか?日本語を習いたての英語圏の留学生が「わた〜しはニホ〜ンゴのべんきょ ...
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波打つリズムを形作り、さらには喜怒哀楽や皮肉などの感情の機微、まだ喋り終わってないよーというサインを示すなど、変幻自在のイントネーションを学ぶにはどうすれば良いのでしょうか?
この記事を読み終えるとイントネーションの具体的な練習方法と練習に使えるおすすめ教材がわかってしまうので、イントネーションを改善したいけどやり方がわからないからやめておくという選択肢が消えてしまいますが、あらかじめご了承ください。
イントネーション練習法
イントネーションを習得するには究極的には「マネをする」しかありません。
ただそのマネの仕方、やるべき具体的手順がある程度分解されていれば練習にとっかかりやすいのではないでしょうか。ここでは下準備を含む4つのステップをそれぞれ見ていきます。
僕が外国語のイントネーションを練習する際に実際に行っている学習手順ですが、もちろんこれが唯一の方法ではありません。皆さんの学習状況や好みに合わせてステップを入れ替えたり、オリジナル練習方法を加えたりして活用してくださいね。
ステップ0: サブリミナル刷り込み
まずはステップ0、潜在意識に英語のメロディーを刷り込んでいく段階です。
流行りの音楽や自分の好きな曲を聞いていると特に意識して覚えようとしていないのに勝手に頭に残ってつい口ずさんでしまうということがあると思いますが、これと同じことを英語のイントネーションでやるイメージです。
具体的には料理解説youtuberや旅動画、TEDなど自分が好きなジャンルの英語動画を使い、強弱リズムのうねりを意識する等して英語発音が持つメロディーを頭に刷り込んでいきます。
この段階では内容を一言一句理解する必要はなく、音楽のように英語イントネーションの雰囲気を感じるだけでもOKです。動画に加えて洋楽も併用すると非常に効果が高いですよ。
ポイントは知らない単語多すぎ・スピード速すぎのダブルパンチでも恐れずに聞き続けること。
僕の場合、英語はリスニング含め受験英語や英検問題集やりまくる→youtubeや海外ドラマのガチ英語に初めて触れるという流れで進んでしまいましたが、今振り返るともっと最初からガチ英語に触れておけばイントネーション学習や発音学習の効率をもっと高められたなと思います。
一方学習初期にサブリミナル刷り込み学習を導入した韓国語は早い段階で発音・イントネーションの感覚を掴むことができました。韓国人の友達ができて韓国語も話せるようになりたいと思った日から毎日、湯船に入りながら5分間訳も分からずK-POPや韓流ドラマを流して韓国語のメロディーに耳を浸していました。
最初は当然単語も内容もわかりませんでしたが、発音・文法・語彙の基礎学習を並行して進めるうちに徐々に湯船での積み重ねが効果を発揮し、発音・イントネーション練習が捗ったのを覚えています。
いつまでも学習者向け参考書のリピートばかりやっていたら身につくものも身についていなかったと思います。(筆者の韓国語発音をジャッジしたい方は下記動画要チェックです)
『韓国語始めたきっかけを韓国語で話してみた』
— ジョニー@英語勉強法/多言語話者 (@Lanboost1) August 25, 2020
韓国語動画はじめて撮りました
If you’re interested in learning Korean, don’t miss this video!
If you’re not interested in Korean, well you also have to check it out. Deal with it! pic.twitter.com/hZSinQaheH
ステップ1: 短文でのリピート練習
ステップ0で潜在意識を活用した下準備がある程度整ったところで、意識的なイントネーション練習の開始です。
ステップ1のポイントは短文のイントネーションを繰り返し練習すること。
短文というのは例えば強弱リズムの最初に扱った「I went to the new restaurant with my girlfriend.」のような簡単で、文字通り短い文です。なんなら「with my girlfriend」のようにもっと細かく分けて練習しても良いぐらいです。
「なんでやねん。長文でやりまくった方が効率良いに決まってるやろ。」
そういうツッコミが聞こえてきそうです。
もちろんステップ2でお話するように長文でやりまくる練習も大切なのですが、短文練習の目的は潜在意識でおぼろげに掴み始めている「抑揚のノリ」の解像度を上げていくことです。
英語学習始めたての頃は文法・語彙・単語の発音やアクセントetc...。とにかく意識するポイントが山積みです。そんなうちからあらゆる情報が次々に押し寄せてくる長文でイントネーションに集中して練習するのはなかなかハードルが高い。
長文読解は得意だという中上級学習者の方であっても、イントネーションがあまり得意でないと感じている場合は全体的なリズムを感じるステップ0の刷り込みやステップ2の長文練習だけでなく、きっちり短文練習をやっていく効果は大きいと思います。
短文にすることでイントネーションにできる限り集中して練習することができるという訳です。
材料に関しては「瞬間英作文」などのスピーキング練習用の音声付き短文集を使っても良いですし、音声付き長文読解参考書や海外ドラマ・youtube動画を短く区切ってリピート練習するのも効果的です。
個人的には長文読解やyoutube動画を短く区切って使うのが「短文練習のステップ1」と「長文練習のステップ2」を行き来して練習しやすいので便利だと思います。
ステップ2: 長文でのリピート練習
短文練習でイントネーションの感覚が少し鋭敏になったところでステップ2、長文での抑揚トレーニングです。
ステップ2の目的は短文には現れないイントネーションもカバーすること。日本語で考えて見ればわかりやすいと思いますが、「私は大学で法律を専攻しています。」のような短文には現れない長文独特のイントネーションがたくさんあります。
「昨日友達と東京駅のカフェに行ったんだけど、1つ1つのテーブルが結構大きくて、飲み物も美味しいし雰囲気もお洒落だしめっちゃ勉強しやすかったよ〜。また今度一緒に行こうよ。」のような長文にしか現れない「抑揚のノリ」があるので、イントネーションを掴むには長文での練習も欠かせないのです。
そしてもう1つ大事なステップ2の目的が『自動化』。
実際に会話する際にイントネーションに意識を持っていかれていては、相手の発言内容を処理して自分も発言することなど無理よりの無理です。ステップ2は長文で何度も繰り返し練習することで「抑揚のノリ」を自動化し、イントネーションを意識せずとも自然な抑揚で話せる状態に持っていくためのトレーニングでもあるのです。
『長文特有のイントネーション習得』『抑揚のノリ自動化』の2つの目的を達成するためには語彙や文法・単語の発音などをすでに分析し、精読が終わっている状態の教材が理想です。
そういう意味では解説が豊富で精読しやすい大学受験用・英検等の音声付き長文読解教材が使いやすいかと思います。ただステップ2でも必ず海外ドラマやyoutubeなどのガチ英語を取り入れていただきたいです。
学習者向け教材は発音が非常にクリアだったり、ゆっくり発音されていたりするので、イントネーションや発音の練習を始めたばかりの頃はとっつきやすく良い学習材料であるのは確かです。反面、よりナチュラルな抑揚を身につけたければ学習者向けの参考書だけでは足りず、やはり生の英語を使って練習する時間を作る必要があるのです。
ドラマやyoutubeであっても英語字幕付きのものを使えばあらかじめ知らない単語の発音や意味を調べたり、わかりにくい文法を分析したりして「精読完了状態」を作り、イントネーションの練習に集中することができるはずです。
慣れてくれば特に事前に調べることなく英語字幕を見ながら、あるいは字幕なしで動画の音声に合わせてガンガンシャドーイングしてくのも効果てきめん。とにかく英語の音と友達になりましょう!
ステップ3: 抑揚パターンの学習
ステップ3はイントネーションのパターン(強弱リズム等)そのものを理論的に学習するステージです。
ステップ1:短文練習で「抑揚のノリ」の解像度を上げていくという話をしましたが、ステップ3の目的はその「抑揚のノリ」を体系的に学習し、イントネーションに対する意識の精度を最大限に高めていくことです。
子供や歌手のように英語の音に対する感覚が鋭敏な方であればステップ0〜2までの練習で十分イントネーションをモノにできますが、音声のみで学ぶことがそれほど得意でない方にとっては体系パターンの学習は非常に有益です。
標準語を話す日本人が関西弁をマスターしたければ関西弁のテレビを見まくるだけでなく、「関西弁はテレビ・ビデオ・なんでやねん、的な感じで真ん中を強めに発音するノリがあるんやでー」みたいな理論的解説&具体例でのパターン学習を併用すると効果が上がるのに似ています。
かなり自然なイントネーションで喋れる方でもパターン学習によって新たに気づくポイントも多いと思いますので、抑揚アハ体験を楽しんでもらえればと思います。
続いてステップ3用の具体的な学習教材について紹介していきます。
イントネーション用おすすめ教材
音声をひたすら真似するイントネーション訓練に関しては、youtubeや長文読解参考書、ドラマなどなんでも興味のある音源を使えば良いので比較的探しやすいです。
しかしイントネーションの抑揚パターンを理論的に学べる教材となると日本語の情報がそれほど出回っていないのもあって、なかなか探しづらいのではないでしょうか?
ここからはイントネーションのパターンが学べるYouTube動画、おすすめの書籍に分けて見ていきます。
イントネーション学習用YouTube
英語の抑揚について解説している素敵な日本語のチャンネルも多くありますが、それは「英語 イントネーション」とかで検索すれば自力で見つけられるはずです。
せっかくなら日本語解説だけでなく英語で直接学ぶのも良いと思うので、イントネーション法則について解説している英語のチャンネルを3つ紹介します。
日本語のチャンネルも多くありますが、どうせなら英語で直接学んだ方が良いと思うので、イントネーションを英語で解説しているチャンネルを3つ紹介します。
・Rhythm Practice: Stress + De-Stress:
英語が簡単かつわかりやすい動画です。強弱リズムについて「I want a new iPhone」など簡単な例文と小学生でも理解できそうな図解と共に説明してくれています。えだまめ(edamame)の発音を例に日本語と英語のリズムの違いにも触れているのでイントネーション法則が直感的に理解できると思います。
・ADVANCED STRESS PATTERNS:
1つ目の動画よりもう少し詳しくパターンを解説してくれる動画。4つの各抑揚法則をスライドで説明してくれた後、短文から長文までそれぞれ音読エクササイズが用意されていて実践的です。このチャンネルのJenniferさんは他にも文法やイディオムなど英語学習情報を幅広く配信されているので、イントネーションだけとは言わず英語で英語を学ぶ経験を積んでみてはいかがでしょうか。
・American INTONATION – What They don’t Teach you in School:
音の繋がりも含めアメリカ発音のイントネーションを詳しく解説している動画。この動画のHadarさんは非ネイティブですが、ネイティブと間違えるほどアメリカ発音を極めた達人です。学習者でもここまでいけるのか、とモチベが上がりますよ。
American Accent Training
上記の無料動画でイントネーションを意識しつつ、海外ドラマやTEDで練習しまくればかなり自然な抑揚で話せるようになると思いますが、アメリカ発音を極めてネイティブに間違えられたい!と思う方におすすめなのがAmerican Accent Trainingです。
全編英語ですが、ある程度英語を学習してきた方(TOEIC700以上目安)で、発音をやり直し中の人は頑張って読んでみると良いかもしれません。音声付きエクササイズもあるので、それほどハードルは高くないです。
英語を喋る時は単語と単語のつなぎ目も息を出し続けようという「Underlying Hum」の話や、単語のアクセントの位置によって母音が変わるという話を含め、アメリカ発音にめちゃくちゃ詳しくなれる1冊です。
次の行動は?
お疲れ様でした。
ここまでイントネーションの学習法・おすすめ教材を紹介しましたが、少しは抑揚のノリとやらを身につけてみたいなと思っていただけたでしょうか?
イントネーションは感覚的な要素も大いにあるため、文法や語彙といった論理的に説明のつきやすい要素と比較するとどうしても後回しにされがちです。しかし、自然な抑揚のノリを習得できればスピーキング力が上がるのはもちろん、リスニングにおいてもリズム感があることで聞き取りやすくなっていきます。
よし、抑揚学習やってみるかと思った方は、リズム感や発音を身につけるための洋楽の活用方法についての記事も参考にしてみてください。
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