そこにはいない人について話している時に限って、その話題の人が登場することありますよね?
なぜなのか分かりませんが、そのような経験をしたことがある人は多いかと思います。
必ずしも悪い状況だけでなく、「ちょうど君の話をしていたんだよ!」というような不思議で嬉しい感情が表現をすることもあります。
このような状況を英語でなんと言ったらよいでしょう?
英語には"Speak of the devil"という表現があります。
直訳すると"悪魔について話す"のようになってしまいますが、日本語でいうところの「噂をすれば」「噂をすれば影」にあたる表現です。
早速例文を見てみましょう。
例えば、ジェシーとジョンがカルロスについて話しているとカルロスがまさにその場に登場します。
Jesse: I happened to meet Carlos earlier and he looked really nervous. Do you have any ideas ?
John: I guess he was nervous before the presentation for the next project. Speak of the devil, here he comes. I will ask him how it went.
ジェシー:さっきカルロスに会ったんだけど、緊張しているように見えたわ。何か知ってる?
ジョン:たぶん次のプロジェクトのためのプレゼンがあって緊張していたんだと思うよ。噂をすれば、彼がきたよ。結果はどうだったか聞いてみるよ。
このように、話題になっている人がその場に登場する時に使われる表現です。
それでは、ざっくりとした概要を理解頂いたところで"Speak of the devil"の語源や例文を見ていきましょう。
"Speak of the devil"の意味
"Speak of the devil"とは、先ほどまで話題になっていた人がその場に現れるときに使うフレーズです。
たとえば、英語のシェリー先生について噂しているとその場にシェリー先生が登場する時に使います。
Takeshi: Do you know that Ms.Sherry is getting married? It was the most surprising and heart breaking news of this century to me.
Tanjiro: Yeah, I know how you feel. You've been obsessed with her so bad.
Look, speak of the devil, here she comes. Tell her what you have on your mind.
武志:シェリー先生が結婚するって知っている?僕にとって今世紀最大のサイプライズかつハートブライキングなニュースだよ。
丹次郎:だよねー、その気持ちわかるよ。先生のこと大好きだったもんなー。
おい、見ろよ、噂をすれば。先生が来たぞ。お前の気持ち伝えてこいよ。
"Speak of the devil"の由来
現代では、"Speak of the Devil"という形で使用されることがほとんどですが、もともとは "Speak of the Devil and he will appear" というフレーズを短くした言葉です。
このことわざは、中世のイギリスで、サタンやルシファーといった悪魔の名を口にすることの危険性を伝えるために使われていたと言われています。
参考:GRAMMARIST Speak of the devil
悪いものを名前で呼ぶことの怖さは、ハリー・ポッターを見たことがある人なら ヴォルデモートのおかげで身近な文化に感じられるかもしれないですね。
また、"Speak of the devil"の代わりに"Talk of the devil"という表現が使われることもあります。
これは1600年代に流行した2つのフレーズ、
"Talk of the Devil and he's presently at your elbow"と
"Talk of the Devil and see his horns"に由来すると言われています。
"Speak of the devil"という言葉が生まれた当時は迷信的な警告の意味合いで使われていました。
つまり、いない人のことを話すことはよくないという意味合いですね。
しかし、今では警告という意味合いよりも、話している対象が"at your elbow"「あなたの肘のところにあること」(気づいたら近くにあること)の偶然性を表現するために使われます。
"Speak of the devil"の例文
それでは、"Speak of the devil"を使った例文を見ていきましょう。
例文:Jane was talking at our lunch table, whinging about her boss, when he walked in. Well, speak of the devil!
訳:ジェーンが昼食の席で上司の話をして愚痴を言っていたら、彼が入ってきた。まあ、噂をすれば……ですね。
例文:Have you seen Johnson ? Oh, there he comes! Speak of the devil.
訳:ジョンソンみた? おーきたきた!噂をすればだ。
例文:Do you know what Taro did yesterday? Oh, speak of the devil, here he comes!
訳:昨日太郎が何したか知ってる?お、噂をすれば、彼がきた。
例文:We were discussing the girl who was Leon's new crush when she walked in. Oh, Speak of the devil.
訳:レオンの新しい恋の相手となる女の子について話し合っていた時、彼女が入ってきたのです。ああ、噂をすればだ。
例文:Did you hear what happened to Sherry today – oh, speak of the devil, there she is.
訳:今日、シェリーに何があったか聞いた?お、噂をすれば、彼女だ。
例文:I hope our professor doesn’t show up today – oh, speak of the devil, here he comes.
訳:今日、教授が現れなければいいなー。お、噂をすれば、彼が来たよ。
"Speak of the devil"に似た表現
ここまで、"Speak of the devil"の意味や由来、例文を見てきました。
理解が深まりどのようなシチュエーションで使うことができるのか、イメージが湧いたかと思います。
そこで、ここでは応用として、""に似た表現も一緒に覚え、表現力を一気に伸ばしてみましょう。
Talk of the devil
例文:I wonder if John is upset about what happened yesterday... Oh, there he is.
訳:ジョンが昨日のことで怒っているのか気になるなー。お、彼が来た。
Speak of the angel
例文:I can't believe that Mariko was cheating on Kenji. What do you think of that? Oops, speak of the angel.
訳:麻里子が賢治相手に浮気をしていたということが信じられないよ。どう思う?おっと、噂をすればだ。
「噂をすれば」と言いたい時には"Speak of the devilを使おう
今回は"Speak of the devil"という表現を見てきました。
"Speak of the devil"は誰かや何かについて話をしているときにその人やものが出現したときに使う表現で、日本語でいうところの「噂をすれば」「噂をすれば影」にあたる表現でした。
皆さんの中にもそのような経験をしたことがある方もいらっしゃるかと思います。今まさに話題に出ていた人が目の前に出現するのは不思議ですが、すかさず"Speak of the devil"と言えたらかっこいいですよね。
今回の取り上げた"Speak of the devil"のようなイディオムを学習することは、英語の知識を学ぶことで、会話の表現力が広がるだけでなく、イディオムが誕生した文化的な背景を学ぶこともできるのでネイティブとの会話や洋ドラマ・映画が楽しくなること間違いなしです。
このブログでは今後もさまざまなイディオムを取り上げていきます。
また、ただ意味を紹介するだけでなく、ネイティブの使い方やイディオムが誕生した背景もしっかりご紹介しますので、丸暗記に頼ることなく学ぶことができます。
これからも一緒にイディオムを学習していき、幅広い表現を身につけていきましょう。