文法

英語のイディオムは覚えるべき?覚えた方が良い理由3選

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皆さんはイディオムと聞くとどのようなイメージを持たれますか?


僕は学生の頃、"イディオム=意味のわからない"というイメージがあり、文法書でイディオムという文字を見つけると無意識のうちに避けていて、いつもテストで出題されないことを祈っていました。


おそらく読者の皆さんの中にも僕と同じようにイディオムに対して、良いイメージを持っていない人もいるかと思います。


その理由はいくつか考えられますが、
僕の実体験を元に考えるに、
① "break a leg" =「成功を祈る」のように意味がわからない表現が多い。
② 苦労してまで覚えるメリットが思いつかない。
③ テストで出てこない。
④ 覚えても使う機会がない。


などなど、色々あげられると思います。
これらは全て実際に僕が過去に感じたイメージでもあります。


しかし、アメリカに留学してみると意外とイディオムを耳にする機会が多く、試しに使ってみることで得られるメリットもたくさんありました。


そこで、イディオムについて知識をさらに深めるため、アメリカ人がイディオムをどのように捉え、覚えるのか、という点を調べたところ、純粋な英語力の向上にもつながる結果となりました。


今回は、そんな皆さんに意外と知られていないイディオムを学習するメリットを日本人視点とネイティブ視点でご紹介していきたいと思います。



イディオムとは



そもそも英語におけるイディオムがどういったものなのか、はっきりと理解できていないという方もいらっしゃるかと思います。


そこで、まず初めにイディオムとは何か、という点を簡単に説明させていただきます。


英語のイディオムとは何か、一言で説明すると


複数の単語から構成され、字面からは意味を推測できないこともある表現のことです。日本語では慣用句と呼ばれることもあります。


よく耳にする有名な表現だと
"A piece of cake"
というものがありますね。


"A piece of cake"は字面の意味は「ケーキの一欠片」ですが、
実際には以下のような使われ方をします。

例文:"Hitting a home run is a piece of cake for him. He is such a fantastic slugger."
訳 :「ホームランを打つのは彼にとって簡単なことだね。彼は素晴らしい強打者だ。」



実際に字面と表現が持つ意味が異なることを実感していただけたかと思います。


このようなイディオムと呼ばれる英語表現は25,000個あると言われております。参考:THE idioms


イディオムが使われるシーンは多岐に及び、カジュアルな会話やプレゼンからある程度難し目な洋書にも登場することもあります。


先ほど日本語では慣用句と呼ばれることがあると述べた通り、イディオムを使うことで、会話にユーモアや知的さを入れることで相手との関係性の構築を図ったり、文中で使うことで、著者の主張をより具体的にイメージできるようにしたりすることが可能です。


イディオムとはどのようなものなのか、ざっくりとイメージを持っていただけましたでしょうか。


こちらの記事でイディオムに関して、より詳しく解説しておりますので、ご興味がある方はぜひ覗いてみてください。


それでは、次章からは早速、イディオムをなぜ覚えるべきなのか、覚えるべき理由という点についてお話をしていきます。



イディオムを覚えるべき3つの理由



それでは、本記事の本題であるイディオムを覚えるメリットという点について、下記の3つの理由から皆さんにイディオムを覚えて頂きたいという話をしていきます。


・ネイティブのように会話にユーモアや個性を入れられる。
・実はイディオムはかなり便利。
・母国語の知識をそのまま使うことができる。


英語を話せるようになりたいという方や、もっと英語の知識を知識を深めたいという方、楽しくできれば少し楽に英語を勉強したいという方にはぜひ知っておいて頂きたいメリットに厳選しました。



ネイティブのように会話にユーモアや個性を入れられる


英会話を学習している方の中には、


「最終的にはネイティブのように話せるようになりたい」

「発音だけでなく、ネイティブが使っている生きた表現を使えるようになりたい」

「ネイティブと意思疎通を問題なくできるようになりたい」

などのように、英語圏で生活するネイティブのレベルを目指す人もいるかと思います。目標が高く素晴らしいことですね。


そのような高い目標を掲げる人にぜひ押さえて頂きたいことの一つのが、イディオムの学習です。


ネイティブのように聞こえるためにやるべきことはいくつか考えられますが、
イディオムを学習することはネイティブのように話すこととネイティブを理解することのどちらにも良い効果を発揮します。
参考:The Necessity of idiomatic expressions to English Language learners


具体的にどのように良い効果があるのか、わかりやすいイメージを持っていただくために、会話を用意しました。


アメリカ出身のJamesと日本人のKofとの間でこのような会話が行われました。


Kof: "How did you spend your weekend?"


James: "I dropped by a run-down-looking bakery near my house, and I had a ridiculously crispy croissant, which was the best crescent moon shaped bread I'd ever had. I didn't expect that."


Kof: "Wow, that's a great discovery. You can’t judge a book by its cover"


Jamas: "Yeah, you can say that again."

続いて、日本語訳付きでみてみましょう。

Kof: "How did you spend your weekend?"
訳:「週末どうだった?」


James: "I dropped by a run-down-looking bakery near my house, and I had a ridiculously crispy croissant. That was the best crescent moon shaped bread I've ever had. I didn't expect that."
訳 :「うちの近くのボロボロのパン屋に入ったら、馬鹿みたいにサクサクのクロワッサンが出てきたんだよ、今まで俺が食べた三日月型のパンの中で一番だったね。あれは予想してなかったなー」


Kof: "Wow, that's a great discovery. You can’t judge a book by its cover"
訳:「おーそれはすごい発見だね。見かけで判断しちゃダメってことだね。」


Jamas: "Yeah, you can say that again."
訳 :「まさにその通りだよ。」


会話の中で登場するイディオムは2つ、
"You can’t judge a book by its cover"と"you can say that again."ですね。
せっかくなので、簡単に解説をしておきます。


まず、Kofが使った"You can’t judge a book by its cover"という表現ですが、
直訳すると「表紙で本を判断することはできない」となります。


これは、本の良し悪しは表紙では判断できず、読んでみないとわからないのと同じように、人やものも外見だけで判断することはできない、という意味のイディオムです。


もう一つ、Jamesが使った"you can say that again."という表現ですが、
直訳すると「あなたはもう一度言えます。」となります。


これは、もう一度言われても全く問題ないくらい同意・同感しているという意味のイディオムです。


上記の会話のようにネイティブ同士の会話の中では、イディオムはごく自然に使われます。


ネイティブが何を言っているのかを理解するために、知識としてイディオムを知っておきたい、というはもちろんのこと、ネイティブのように会話の表現に豊かさを持たせるためにもイディオムは非常に効果的です。


イディオムは実は非常に便利


イディオムを覚えたほうが良い理由2つ目は、イディオムは実は会話の際にかなり便利だからです。


英語を話していると


「言いたいことを頑張って伝えてみたけど、もっといい言い方なかったかなー」

「必死にダラダラ話してしまったけど、もっと端的に伝えたかったなー」

「もっとクールに発言したかったなー」

「英語力が足りなくて、言いたいことを十分に伝えきれなかったなー」


などの悔しい思いをしたことはないでしょうか?


このような思いはイディオムを勉強することで、払拭できる可能性があります。
なぜならあなたが今の置かれている状況や伝えたいことを的確に示すことができるイディオムがある場合があるからです。


例えば、"No pain, no gain" という表現はすごく簡単ですが、
「何かを得るためには痛みを味わう必要がある。」という何とも深い意図を相手に伝えることができます。


非常にシンプルで簡単なこの"No pain, no gain" という表現ですが、
もし自分の言葉で伝えようとするとどうなるでしょうか。


おそらく
"If you want to get something, you need to get bleeding" や
"You’ve got to suffer if you want to achieve something" のように
ある程度ちゃんとした表現ができるようになる必要があります。


こういった表現を使おうとすると、英語力によっては、文法や単語の使い方を意識しなくてはならないので、会話の中で使えるか不安に思うかもしれません。


そんな時にイディオムが便利です。
文法や時制などのを考えずに、シンプルに"No pain, no gain" で全てが伝わると考えるとかなり便利な気がしませんか。


この他にも
「何かを適当に(雑に)行う」という意味の"To cut corners"や
「取り組んでいる仕事を終える」という意味の"Call it a day"
「イライラが限界に達し、ついに爆発してしまう最後のきっかけ」を表す‘The last straw"など、状況に合わせて使うことで、伝えたい意思を簡単に言い表すことができる便利な表現がたくさんあります。


イディオムは覚えるのは難しくない割に、的確に状況を説明できるので、英語を始めたばかりの学習者が効率よく英語を教えるために、教育にイディオムを取り入れている教育機関もあります。
参考:https://www.londonschool.com/blog/why-teach-idioms/




母国語の知識をそのまま使うことができる。



さて、最後にご紹介するのは皆さんの日本語の知識をそのまま活かせる可能性があるということです。こちらも先程のお話と似て、何ともお得感のあるお話です。


多くの学校教育では、日本語と英語はどれほど違うのかという点や文化が異なるので、言葉には気をつけなくてはないけないという点について、話がされる機会が多いかと思います。


確かに、日本語と英語では、文法や発音など異なることも多いのですが、皆さんの持っている日本語の知識をそのまま活かせる分野もあります。

その典型的な例がイディオムです。


というのも英語のイディオムに対応できる日本語の表現があることも珍しくないからです。さらに、そのような表現の意味の理解は日本語で完了していることが多いので、あとは、英語の表現を知ってしまえば良いだけです。


それでは、実際にどのような表現が英語のイディオムにあるのか、みてみましょう。


例えば、このような表現があります。

The grass is always greener on the other side of the fence”

直訳すると「いつもフェンスの向こう側の芝生の方がより緑」


おそらく多くの日本人がこの表現を見て気がつくのではないでしょうか。

そう、これは日本語でいうところの「隣の芝は青い」ですね。
どんなものでも他人のものはよく見えてしまう、という意味のことわざですね。

このようにイディオムを学習していると日本語で持っている知識がそのまま活かせることも多いです。もともと意味を理解できている分、覚えるハードルが低く感じるかと思います。


日本語の知識が活かせるという点で、もう一点触れておきたいのは、日本語由来の英語のイディオムも中にはあるということです。


早速ですが、会話で例文を見てみましょう。
きっと皆さんも一度は聞いたことのある日本のことわざに由来するのですが、どのことわざか予想してみてください。


John: "Ahh, it is really hard for me to get along with the people in the new department. They give me a bunch of Sisyphean tasks. There must be something wrong with them."

Kate: "I know what is happening to you.  It is what people say the nail that sticks up will be hammered down."

日本語訳付きでみてみましょう。


John: "Ahh, it is really hard for me to get along with the people in the new department. They give me a bunch of Sisyphean tasks. There must be something wrong with them."
訳 :「あー、新しい部署の人と仲良くするのむずいよー。あの人たち無駄な仕事ばかりよこしてくるし。あの人たち絶対どうかしてるよ」


Kate: "I know what is happening to you.  It is what people say the nail that sticks up will be hammered down. You are a bit too smart."
訳 :「あんたに何が起きてるのかわかるわ。それはいわゆる、出る杭は打たれるってやつね。あんたはちょっと賢すぎんのよ。」


今回は「出る杭は打たれる」を例に使ってみました。
日本のことわざに由来するだけあって、英語訳も直訳ですね。
おかげで意味を予想できた方もいらっしゃるかと思います。


英語文化で生まれた表現ではないので、全てのネイティブに通じるわけではないのですが、学のあるネイティブなら知っていることもありますし、知らなくてもどういう意味なのか興味を持ってもらえて話題になるかもしれません。


また、日本語に由来するイディオムの場合、意味を最初から知っている状態で学び始められますし、単語や文法も一緒に覚えられるので、こちらもかなりのお得感があるかと思います。


ここまでみて来たように、英語のイディオムには日本語を知識を活かしながら覚えることができる表現も多数あります。


一応補足すると、英語のイディオムの中には"pull someone’s leg"のように一見日本語の知識で理解できそうだけどもできない表現もあるので注意は必要です。


しかし、学習を始めた時からすでに意味を理解できている、というのは他言語を使う英語学習者と比べてアドバンテージにもなり得ますので、ぜひ一度学習してみて頂きたいと思います。



さらに英語理解の幅を広げる簡単なイディオム


最後までお読み頂きありがとうございました。


今回は、イディオムを学習するメリットとして、

・ネイティブのように会話にユーモアや個性を入れられる。
・実はイディオムはかなり便利。
・母国語の知識をそのまま使うことができる。


以上の3点について具体例を盛り込みながらご紹介してきました。


もしかすると皆さんの中には、イディオムを覚えなくても話せるし、日本語でも普段から慣用句を使わない性格だから覚える必要はない、と感じている人もいるかもしれません。


それでもぜひ皆さんにイディオムを一度学んでみて頂きたいという理由は、イディオムを覚えると英語学習の幅が圧倒的に広がるからです。


イディオムはカジュアルな会話で使われることが多いですが、その他にもニュース記事やブログ、小説などでも使われることがあります。


そして、実際にイディオムが使われるのは、その表現を特徴づけたかったり、読者の印象に残らせたいという意図がある場面であることが多いです。


また、同じようにネイティブに対してイディオムを使って表現することは皆さんの発言を相手にしっかり印象付けるという意図も含まれています。


ぜひ簡単なイディオムや身近なイディオムから学習を始め、皆さんの英語力をさらに引き上げていって頂きたいと思います。

 

プロフィール

管理人: マルチリンガルジョニー

 

高校中退→1浪→京大法学部→セブ留学(1ヶ月)→上海留学(1年間)→専門商社就職→香港駐在→2年で退社→韓国でフリー→医学部受験講師

 

モットーは『語学=ライフスタイル』
話せる言語は日・英・中・韓・広です。
TOEIC990。新HSK6級。

 

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