英語を学習している人なら一度は「イディオム」という表現を聞いたことがあるかと思います。
英語のイディオムとは、一言で説明すると
複数の単語から構成され、字面からは意味を推測できないこともある表現のことです。日本語では慣用句と呼ばれることもあります。
よく耳にする有名な表現だと
"A piece of cake"
というものがありますね。
"A piece of cake"は字面の意味は「ケーキの一欠片」ですが、
実際には以下のような使われ方をします。
例文:"Hitting a home run is a piece of cake for him. He is such a fantastic slugger."
訳 :「ホームランを打つのは彼にとって簡単なことだね。彼は素晴らしい強打者だ。」
字面の意味と表現が持つ実際の意味は異なっている点をイメージして頂けたかと思います。
このような英語のイディオムの数は非常に多く、その数はなんと25,000個に及ぶと言われています。
参考:THE idioms
ただでさえ、字面と実際の意味が異なり、理解するのが難しそうなのに、数も多いとなるとその全てを覚え、使えるようになるのは不可能に近いと感じてしまいますよね。
僕自身もネイティブのように話せるようになるために、イディオムを勉強した方がいいと頭ではわかっていつつ、どこから始めるのが良いのか、何個覚えるべきなのか、などを考えてしまい、モチベーションが全く上がらなかった時期がありました。
しかし、ネイティブと英語を話す際に、ただ機械的に会話をなんとなくこなすだけでなく、相手に自分のキャラや面白さや知的さを伝えたり、会話そのものを楽しくするために、イディオムを知っておいて絶対に損はしません。
また、実はコツさえ掴めば、イディオムを覚えるのは、そこまで難しくないどころか、単純に単語帳で単語を覚えるのよりも圧倒的に簡単な場合があります。
今回は僕自身がイディオムを覚えるために色々試してみたり、ネイティブがどのようにイディオムを学ぶのかを調べた結果を皆さんに共有し、皆さんのイディオム学習の一助になれたらと考えています。
イディオムのイメージがあまり湧いていない方も次の章から例文を踏まえつつ、わかりやすく解説していくので安心して読み進めてください。
イディオムとは
冒頭に申し上げた通り、イディオムとは、
複数の単語から構成され、字面からは意味を推測できないこともある表現のことです。
しかし、これだけだと英語の他の表現 (英熟語や句動詞)との違いがいまいちピンと来ない方もいらっしゃるかも知れません。
そこで、イディオムの特徴をまとめ、それぞれの特徴を表す例文を用意しました。例文を読んで頂き、そもそもイディオムとはどういうものなのか、皆さんと認識を合わせさせて頂きたいと思います。
イディオムの特徴:
①様々な品詞がある。
②単体で文になるものがある。
③字面からは意味がわからないことが多い。
例文:
①nine-to-five job 名詞
例文:"I never want a nine-to-five job."
訳 :「ルーティーンの仕事は絶対にしたくない。」
②had one too many 動詞
例文:"I am sorry but I can't drive you home tonight. I had one too many."
訳 :「ごめん、今夜は送れないわ。。飲みすぎた。。。」
③heard through the grapevine 副詞
例文:"I heard through the grapevine that John and Jessica were making out in the central park."
訳 :「噂話で、ジョンとジェシカがセントラルパークでキスしてたって聞いたよ。」
④No pain, no gain
意味:痛みなくして、得るものなし。
例文:" I wonder if there are any ways to earn money with no effort.
" You know what they say? No pain, no gain. You've got to do what you've got to do to get what you really want.
訳 :「努力を全くしないで金を稼ぐ方法はないかな。」
「人はなんて言うか知ってるか。痛みなくして、得るものなしだ。本当に欲しいものを手に入れるためにはやらなきゃいけないことをやるんだ!」
⑤Donkey's years
直訳:ロバの歳
意味:かなりの長い時間
例文:"I haven't talked to John in donkey's years."
訳 :「もうかなりの間ジョンと話してないわ。」
起源:ロバの耳を表す"Donkey's ears" に由来すると言われています。
yearsはearsの音からくるスラング的な使い方がされています。
一説によるとロバは長生きし、耳も長いことからこの表現が生まれたと
言われています。
参考:Donkey's years
それでは例文がそれぞれどの特徴を表しているのかを見ていきましょう。
まず、
①nine-to-five job
②had one too many
③heard through the grapevine
の3つのイディオムはそれぞれ品詞が違うという点に気づいて頂けたでしょうか。イディオムにはさまざまな品詞のものがあるので、自由自在に使用可能という特徴ですね。
④はNo pain, no gainというイディオムが単体で文として使われていますね。
イディオムには慣用的な表現やセリフのような表現も多く、単体で文になるものもあります。
⑤はDonkey's yearsは「ロバの耳」という字面では意味を予測できないという特徴を表しています。
このような特徴がイディオムにはあります。
イディオムとはどのような表現のことを指すのか、イメージを持って頂けましたら幸いです。次の章から実際にどのように学習するとイディオムを簡単に覚えることができるのか、見ていきます。
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これだけは押さえておきたいイディオムの覚え方3選
イディオムを覚えるためのおすすめの学習法はいくつかあるのですが、どんな英語レベルの人にも使える、非常に効果的な学習法を3つ厳選しました。
イディオムの学習法ですが、イディオム学習の過程で皆さんの英語力が伸びること間違いなしです。
ぜひ気に入ったものを試してみて頂きたいと思います。
文脈で覚える
まず一つ目のイディオムの覚え方は文脈でイディオム覚える方法です。
これはイディオムに関わらず、単語の学習法で聞いたことのある方もいらっしゃるかもしれません。
イディオムの表現を単体で覚えるのではなく、文中でイディオムがどのように使われているのかを理解しながら覚える方法です。
他の英語単語にも言えることですが、イディオムはどんな状況でも使える、というものではありません。意味がしっかり通る場面で正しく使うことで初めて、相手はあなたの言いたいことを理解します。
つまり、イディオムを単体で覚えたとしても正しい状況で使うことができなければ、覚えて意味を理解できても使えない、という現象が起きてしまいます。
このような現象を回避するために実際にイディオムが使われている状況や前後にどのような表現が来ることが多いのかを考えながら覚えることが大事です。
それでは、イディオムの例文を3つ見てみましょう。
どのような文脈で使用されているのか、意識しながら見てみてください。
①know on which side one’s bread is butteredもしくはknow what side one’s bread is buttered on
意味:どちらにバターが塗ってあるのかを知っているという意味。ここから転じてどちら側に得があるのか、利害関係を知っているという意味
例文①:If you really know on which side your bread is buttered, you should show a bit more respects to your boss.
訳 :あんたとって何が得か、本当にわかっているなら上司にもう少し敬意を見せるべきだね。
例文②:I know which side my bread is buttered on, so I am going to accept the job offer.
訳 :何が俺にとって得なのか理解しているから、その仕事を受けることにするよ。
②beck and call
意味:呼ばれたらいつでも駆けつけられること、またはそれくらい従順なこと。
例文①:Do not treat your girlfriend as a servant that she should be ready at your beck and call.
訳 :彼女がいつでも駆けつけてくれる奴隷のように扱うのはやめるんだ。
例文②:Jennifer is so selfish and rude. She always expects us to come at her beck and call.
訳 :ジェニファーはわがままで失礼なんだ。いっつも俺たちがすぐに駆けつけることを期待してやがる。
例文③:I will always be there for you at your beck and call if you need any help.
訳 :必要があれば、僕はいつでもあなたのために駆けつけます。
③Joined at the hip
意味:離れられない二人。いつも一緒にいる二人。他の人よりも一緒にいる時間の多い二人。
例文①:"Hey look, they are always together. I don't think I have seen one without the other."
"Yeah, Mary and John have been joined at the hip since they started dating.
訳 :「おい見ろよ、あいつらいつも一緒にいるよな。片方だけでいるのを見たことない気がするわ。」
「せやな。メアリーとジョンは付き合いだしてからずっと"離れられない二人"って感じやな」
例文②:Well, first of all, I am glad you like me, but if you want to get along with me, please make sure that I don't want us to be joined at the hip. I need my own personal live and space.
訳 :ええと、まず、僕のことを好きで嬉しいよ。でも、もし仲良くなりたいなら、僕はいつも一緒にいるというのは求めていないことをわかってくれ。僕には僕自身の生活と空間が必要なんだ。
参考:THE Idiom
単純にイディオムと日本語訳をセットで覚えるのは難しいです。
しかし、イディオムの意味を理解し、使い方を意識することで、シチュエーションをイメージしながら覚えることができます。
また、記憶への定着という観点だけでなく、覚えた表現を実際に耳にした時に理解できるようにしたり、使えるようにしたりするという観点からも文脈で覚えるのは効果的です。
例えば、上記で2つ目の例としてご紹介した"beck and call"という表現ですが、例文を注意してみると"beck and call"の前に所有格(my, your, his, her, Bob'sなど)が使われている点に気づいていただけるかと思います。
つまり、同じような形で耳にするかもしれませんし、自分でも同じように表現を使うことができるということです。
ぜひ、皆さんがイディオムを見かけた際にはどのように使われているのか、どのような単語とセットで使われているのか、などを確認しながら学習を進めていただきたいと思います。
ジャンルで分けて覚える
効率の良いイディオムの覚え方2つ目はジャンルで分けて覚える方法です。
これはどういうことかというと、イディオムの意味や使われている単語に着目し、イディオムの表現と表現を関連づけて覚える方法です。
もしかすると英単語の学習の際に、身体の部位や社会学・政治に関する単語などのジャンルごとに覚えたことがある方もいらっしゃるかもしれません。そのイディオム版だと思って頂けるとわかりやすいかもしれません。
なぜジャンルで分けて覚えるのが良いのかという点ですが、
まず一つ目のポイントは、一つ一つの表現が関連づけられ記憶に定着しやすい、という点が挙げられます。
参考:How to learn vocabulary by grouping words together
例えば単語を覚えるとき、「目」という単語を覚えた後、「金融」という単語を覚えるよりも「耳」や「鼻」といった顔の一部という括りの単語を覚えた方がイメージもしやすく、覚えやすいですよね。
それと同じく、関連づけられそうな表現を一緒に覚えることができれば複数の表現を相互に記憶に定着させながら覚えることができます。
もう一つのポイントは、覚えたものを使いやすいという点が挙げられます。
例えば恋愛にまつわるイディオムを20個覚えたとしましょう。普段みなさんも日本語で恋愛に関する話題に触れる機会も多いかと思います。職場や友人、地元に帰った時や家族と会った時にも恋愛の話は常に付き纏いますよね。これはつまり、それだけ恋愛について話す場が多いともいえます。
そのため、もし恋愛に関するイディオムをたくさん覚えることができれば、恋愛の話題があるところでは恋愛に関する様々なイディオムを使うチャンスがあるということです。同じようにお金に関するイディオムをたくさん覚えることができれば、お金についての話が楽しくなるかもしれませんね。
それでは、イディオムをどのように分けて覚えるのが良いのか、ここではイディオムの意味で分ける場合とイディオムに使われている単語で分ける場合の2つにジャンルを分けて学ぶ方法をご紹介したいと思います。
イディオムの意味でジャンルを分ける場合
まず、イディオムの意味でジャンルを分けた場合をみてみましょう。
意味でジャンルを分ける、つまりここではイディオムの持つ意味に着目します。
どのように分けわれるかというと、
例えばお金にまつわるイディオムというジャンルを作ることができそうですね。
早速3つほど例文をみてみましょう。
①bread and butter
意味:収入
例文:I don't want to be the kind of person who complains about his company but can't quit it because it's his bread and butter.
訳 :俺は会社に文句を言いつつも収入源だからと会社を辞められないような人にはなりたくない。
参考https://www.theidioms.com/bread-and-butter/#:~:text=Example%20Sentences,your%20own%20bread%20and%20butter.
②Pay peanuts
意味:わずかなお金
例文:You cannot hire highly motivated employees if you are only willing to pay them peanuts.
訳 :あなたがわずかなお金しか払わないようならモチベーションの高い従業員は雇えない。
③on the house
意味:店側が客に対して無料で提供すること
例文:Jennifer decided to break up with Kenji when he was telling her that he has complained about the atmosphere of the restaurant to get a drink on the house.
訳 :ケンジがタダでドリンクももらうためにレストランの雰囲気が悪いと文句を言ったことがあることを話している時、ジェニファーは彼と別れることを決めた。
イディオムの持つ意味に着目すると、一つ一つのイディオムの表現の意味を関連づけながら覚えることができます。
このように覚える方法だと、お金以外にも「記憶にまつわるイディオム」「愛にまるわるイディオム」や「人生に関するイディオム」など様々なジャンルで学ぶことができます。
ぜひみなさんの興味をそそられるジャンルを見つけていただきたいと思います。
イディオムに使われる単語でジャンル分けする場合
続いては、イディオムに使われる単語に着目してジャンルを分けてみましょう。
イディオムを使われる単語で分けるというのは、どのようなことかというと、関連づけられている単語が使われているイディオムをまとめて覚えてしまう、という方法です。
例えば、イディオムには身体の部位を表す単語が使われているイディオムや動物の名前が使われているイディオム、道具の名前が使われているイディオムなど、様々なものがあります。
そのような表現をまとめて覚えることができると単語が関係しているので、思い出すことも容易です。
ここでは、動物の名称が使われているイディオムを3つご紹介します。
①ants in one's pants
意味:心配事や興奮で、落ち着かない、またはじっとしていられない。
例文:Jenny looked weird the other day, so I asked why later and she said that she had ants in her pants due to her final exam.
訳 :この前ジェニーの様子が変だったから後でなんでだったのか聞いたんだよ、そしたら学期末テストがあるから落ち着かなかったんだって言ってたわ。
②chicken out
意味:怖くて何かをするのを決められない。(多くの場合、直前に)
例文:Jessica took me to the mountain and said that we were going try bungee jumping. But I chickened out when a staff was setting up the rope.
訳 :ジェシカが僕を山に連れて行ってジャンジージャンプをやるって言ったんだ。でも、スタッフが紐をセットしているときに怖くなってできなかったんだ。
③copy cat
意味:他の人と同じことをする人
例文:"Are you satisfied with being a copy cat? If not, do something original. Come up with an idea no one has ever imagined.
訳 :「真似をする人間で満足か?もし違うならオリジナリティのあることをやれ。誰も想像もできなかったアイデアを思い付け。」
動物の名称以外にも植物の名称など、みなさんの好きなものがから調べてみると楽しく覚えられそうですね。
イディオムの成り立ちに注目する
続いてご紹介するイディオムの覚え方はイディオムとしての表現が生まれた成り立ちに注目するという方法です。
ここまで、様々なイディオムを見てきましたが、なぜそのような意味になるのか、理解ができないイディオムも中にはあったかと思います。
イディオムが苦手な方の多くは、イディオムが生まれた成り立ちや背景を意識せず、単純に表現と日本語の意味を結びつけて覚えている場合があります。
冒頭でも触れましたが、字面からは意味を推測できないという点もイディオムの大きな特徴の一つです。
そのため、イディオムの表現と日本語の意味を直結させて覚えるのは、意味と単語に繋がりがないので、かなり難しいです。
そこで、今回ご紹介するイディオムの成り立ちに着目するとイディオムの生まれた背景つまり独特な表現が特定の意味を持つ理由を理解することができるので、意味の繋がりが生まれます。そのため無理矢理覚えるのではないので、記憶にもすんなり入ってきます。
また、イディオムの成り立ちの多くは何らかのストーリーがあります。
表現が生まれた経緯となるストーリーをイメージしながら覚えることで、イメージと表現の意味をリンクさせながら覚えることができます。
単語を覚える際にビジュアライズすることが大事と聞いたことがある人もいるかと思いますが、イディオムでも同じことができます。
むしろ単語よりもイメージしやすい、ストーリーを使って覚えることができるので、人によっては単語よりもイディオムの方が覚えやすい、ということもあります。
それでは、イディオムの成り立ちを意識し、ストーリーをイメージしながらいくつかのイディオムを見てみましょう。
Bite the bullet
直訳:銃弾を噛む
意味:やりたくないことをやる。
例文:"I am so tired of asking you when you will start looking for a job."
" When the time comes, I will bite the bullet and do what I really got to do.
訳 :「あんたいつになったら仕事を探し出すのか聞くのに疲れたわ。」
「時が来たら、堪えて本当にやらなきゃいけないことをやるよ。」
語源:戦場で兵士が負傷し、麻酔がない状態で治療を受ける際、痛みに耐えるために銃弾や革など硬いものを噛む必要があったという話に由来します。
参考:THE Idioms
Give a cold shoulder
直訳:冷たい肩をあげる
意味:(あまり友好的ではない感じで)冷たい態度をとる。拒絶する。
例文:"I saw Jenny gave you the cold shoulder. I thought you two were friends. what happened?"
" I have no clue. But no matter what others do to me, I would never give them the cold shoulder.
訳 :「ジェニーが君に冷たい態度をとっているのをみたよ。二人は友達だと思っていなんだけど。何があったんだい?」
「本当にわからないんだ。でも、誰が僕に何をしてこようが、僕は冷たくあしらったりはしないよ。」
語源:中世のイングランドでは、パーティーなどで、ゲストがそろそろ帰る時間だと思ったらホストはゲストに対し、冷めた羊や豚、牛などの肩の肉をあげるという習慣がありました。今でいうところのそろそろお開きにするという意味合いからこの表現が生まれました。
Butter someone up
直訳:バターを塗り上げる。
意味:誰かに対し、お世辞を言い良い印象を与える。ごまをする。おだてる。機嫌を取る。
例文:"I don't like the way Bob tries to get a promotion. He is always buttering up his boss"
訳 :ボブの昇進するためのやり方は好きじゃない。あいつはいつも上司にごまをすってるんだ。
語源:昔のインドの敬虔な教徒たちが許しや手引きのために神の像に向かってバターで作られたボールを投げたという宗教的な行動に由来します。
Break the ice
直訳:氷を割る
意味:争いや衝突を解決する。友好な関係を始める。緊張をほぐす。
例文:"Thank you for gathering tonight. To begin with, why don't we play a little game to break the ice?"
訳 :「今夜はお集まり頂き、ありがとうございます。はじめに、緊張をほぐすためにちょっとしたゲームをしましょうか。」
語源:この表現は船での交易が盛んだった時代に由来します。当時、冬に船で荷物を輸送する際に、海の氷に塞がれてしまうことがありました。荷物を受け入れる国は、輸送用の船が港に来れるように小さな船を出し、「氷を割り」ました。このような行動が両者の友好関係の印として考えられたことからこの表現が生まれました。
Break a leg
直訳:足を折る
意味:幸運を祈る。成功を祈る。頑張って。
例文:“I feel so nervous about my first stage performance scheduled for tomorrow." “Well, break a leg!”
訳:「明日予定されている初めてのステージパフォーマンス、めっちゃ緊張するよ。」
「よし、頑張って!」
語源:この表現にはいくつか語源があるので、有名なものを一つご紹介します。演劇の世界で本番前に"Good luck !"など良い事を演者に対して言うのは不運を招くとされていました。現代でいうところのジンクスやフラグみたいなニュアンスですね。そのため、演劇が上手くいって欲しいと思うなら逆に悪いこと、つまり"Break a leg"(足を折れ)などとなったという説があります。
*ここでは触れませんが、"ship has sailed", "know which way the wind is blowing" もイディオムです。
5つのイディオムとその語源にあたるストーリーを見てきました。
単純に"break a leg" = 「幸運を祈る」と覚えるよりも腑に落ちる感覚や記憶に残りそうな印象を持って頂けていると幸いです。
ぱっと見て意味が本当にわからないようなイディオムに対し、なぜこのような意味なのだろうか、と疑問を持つことは非常に重要です。
また、疑問を持った表現を調べる過程も大事です。語源を英語で調べて、ストーリーの英語を読んだりすることができると読解力も上がり一石二鳥ですね。
多くの場合、語源となるストーリー自体はそこまで長くないので、気になった方は調べてみてください。
皆さんの中にも自分でも調べられるようになりたい、という方がいらっしゃるかと思うので、念のため語源の英語での調べ方について触れておきます。
気になったイディオム + origin ( of expression )
(ex. Break a leg origin )
と調べるとほとんど出てくるかと思います。有名な表現にはwikiがある場合もあります。
注意点というほどでもないのですが、気になったイディオム + meaning としてしまうとイディオムの意味だけが出てくることが多いので、イディオムの学習にはぜひ"origin" で調べてみていただきたいです。
イディオムは非常に強力です。
今回はイディオムの覚え方を3つご紹介してきました。
・文脈を意識する方法
・ジャンルで分けて覚える方法
・イディオムの成り立ちに注目する方法
順に振り返ってみると、
まず文脈を意識しながら学習することで、実際にどのように使われるのかを理解し、状況をイメージしながら覚えることができるので、記憶への定着が良く、実際に目や耳にした時にも理解できます。
また、ジャンルで分けることで、似たような表現や特徴的な表現をまとめて覚えることができるので記憶に残りやすいです。さらに、その好きなジャンルの表現を増やすことができるので、自分の中でボキャブラリーが豊富なトピックを増やすことができます。
また、成り立ちを意識しながらイディオムを覚えることで、それまでは字面と本来の意味が全く結びついていなかったイディオムを由来という根拠とともに覚えることができます。ただの日本語:英語という方ではなくなりますし、成り立ちのストーリーをイメージできるのでこちらも記憶へ残りやすくなります。
イディオムは、日本の教育ではなかなか触れられることの少ない英語の分野の一つですが、海外では、英語初心者や中級者にまずイディオムから学習をさせる教育機関もあるほど、学習すると非常に強力な武器になる分野です。
今後、イディオムを覚えたいという方に向けて、おすすめのイディオムや海外のサイトなどもご紹介していきますので、引き続きどうぞよろしくお願いします。